トップページ > 技術解説 > 吸引力と温度上昇
ソレノイドの吸引力はアンペアターンに影響されます。 アンペアターンはコイルに流れる電流とボビンに巻かれている銅線の巻数の積で算出されます。 使用できる銅線の量はソレノイドの大きさに制限されるので、吸引力は主に電流値によって左右されます。 電流値を大きくするには、抵抗値を小さくすればよく、すなわち、太い銅線を使用すれば吸引力が大きくなります。 通常、同型のソレノイドの場合、抵抗値の大小で吸引力を判断します。
抵抗値が小さく電流が多く流れれば、吸引力が大きくなる反面、ソレノイド内部の温度は急激に上昇します。 上昇温度がソレノイドの限界を超えると、発火発煙の危険があるので、ソレノイドの選択は吸引力だけではなく温度上昇も考慮する必要があります。 連続して通電する場合や、高温環境下などでの使用の場合は、吸引力は小さくなりますが、温度上昇値の小さい抵抗値の大きいソレノイドをお選びください。
前述のようにソレノイドは温度が上昇すると吸引力が低下します。 下記表は20℃を基準としたとき温度による吸引力の増減比を表わしています。 ご参考のうえ、余裕を持った吸引力をお選びください。
コイルに発生した熱量は、外部部品も温度上昇をさせます。 反面、外部部品は周囲に熱を逃し、温度の上昇を抑制する作用もあります。またある温度まで上昇すると、それ以上、温度が上昇しない飽和点が存在します。 この飽和点によってソレノイドの絶縁階級がわかれます。 一般的にソレノイドの絶縁階級は下表のように表します。
ソレノイドの温度上昇はソレノイド単体での測定のため、実機に取り付けると周辺機器の影響、周囲温度、通電時間の変更などでソレノイド単体で測定した温度上昇値とちがうことがあります。 このような場合は実際にソレノイドを取り付け、通電した状態でソレノイドの抵抗値を測定することで温度上昇値を算出することができます。(抵抗法) 下式は温度上昇を求める計算式です